» 2012 » 8月 » 28のブログ記事

 日本人に宗教の話をすると、すぐに否定的な意見が出てくる。やれ洗脳だの教祖がどうのだのお布施だの勧誘ノルマだの。しかしこれはまっとうな宗教ではなく、新興宗教団体である。
 普通に考えれば、昔からあるカトリック、プロテスタント、東方正教、イスラム、ヒンディー、ゾロアスターなどはお布施の義務どころか勧誘すらしていない事に気づくはずだ。

 お布施の義務だとか、勧誘ノルマだとか、教祖が性奴隷を作りまくるだとか、そういうのは大抵新興宗教、いわゆるカルトと呼ばれるものである。ではカルトの定義を見てみよう。

1.真理はその組織に占有されており、その組織を通してのみ知ることができると主張する。
2.組織を通して与えられた情報や考え方に対しては、疑ってはならない
3.自分の頭で考えることをしないように指導する
4.世界を組織と外部とに二分する世界観を持つ

 などなど文献や学者によって様々な定義があるのだが、私が考える決定打はこれ

・教祖や幹部に序列をつけ、崇拝させる。

 つまり非常に権威主義の人間崇拝、この一言に尽きる。この世にはびこっている新興宗教、たとえば創価学会の長は池田SGI会長とかいう名前がついており、幹部にもいろいろ名前がある。幸福の科学の大川隆法は「エル・カンターレ」である。幹部にもラテンっぽい名前がつけられている。かの有名なオウム真理教も幹部達に様々な敬称がつけられていた。

 ※余談だが私はオウム真理教に目をつけられて勧誘された事がある。その時「いや、私はムスリムですから、貴方達仏教徒とは絶対に分かり合えないと思います」と答えたら、その幹部は「すみません、ムスリムって何ですか?」と聞いてきた。おいおいこんな知識で宗教組織を運営してるのかよ・・・と飽きれた。

 さて、ではこのようなカルト宗教を否定しまくる日本人の実態はどうであろうか。人間に序列をつけ、崇拝するというカルト的行動が大嫌いだから、さぞフリーダムにやっているのだろう。と、思いきや事実は全く逆なのである。

 日本人は生まれた時から年功序列を叩き込まれ、学校教育では人間崇拝を教え込まれる。偉い人の言うことは理由なしに聞け、と教育される。「先生は偉い」「先輩は偉い」ひどいのになると「俺が黒と言ったら白でも黒だ!」なんていうものまである。秦の宦官、趙高もびっくりである。人間崇拝が教育現場に溢れ過ぎている。

 人間崇拝は他の所でも簡単に発見する事ができる。たとえば、売れ筋商品のプロモーションである。この国ではその商品がどんなものかであるかよりも、誰が使っているか、のほうが大事なのだ。人々は製品について勉強したり手にとって見ることはせず、誰が使っているのかばかり気にする。だから大手広告代理店は意味不明に有名人を起用したCMばかり作る。

 政治家の答弁や、メディアの討論も同じである。何を言ったか、より誰が言ったか、が大事なのである。権威のある人間が言った言葉なら、それがどんなに間違っていても正当化され、社会的立場のない人がどんなに正しい事を言っても誰も耳を貸さない。

 もう少し身近な例を言うと、地方の病院なんてまさに人間崇拝のそれである。医者は神様扱いで、看護婦や技師は豚。患者が医者の都合に合わないような事を言うと、医者が切れて患者が怒られる。看護婦や技師も、「なんで先生に合わせないんですか!」などと叱り付けてくる始末。これがカルト体質以外の何なのであろうか。

 個々人も実に愚かである。権威のある人間にペコペコしてうまい汁を吸おうと考える人が後を絶たない。これがブラック企業の原点である。光通信の靴酌事件など典型的な人間崇拝のそれである。また、得意げに自論を並べ立てる人間を問い詰めていくと、最終的には「誰々が言っていたから・・・」などという全然理論的ではない所から出発していたりする。特に<社会人>と<会社人>を混同している人間に多い。

 ブラック企業と新興カルト宗教、学校の部活、その他もろもろのコミュニティ、一体どこに差があるというのであろうか。自分が間違っていると思う事でも上の人間が言えば我慢して行う。上の立場の人間にお布施(金銭、労力)をする。数え上げればキリがない。ちなみに日本の企業の95%はブラックである。

 この人間崇拝の最たる例は太平洋戦争時の国家神道ではないだろうか。天皇を中心とし、無能幹部どもが権威を振りかざして戦略の大失敗を繰り返した。下々の兵達は牟田口のような糞上官の言う滅茶苦茶な作戦に従うしかなく、「天皇万歳!」と言って死んでいったのである。そしてこのカルト教団を最も象徴するのは、神風特攻である。 

 戦後GHQはこのカルト教団を解体したが、日本人のカルト体質は直らなかった。新世紀になってもあらゆる場所でカルトを見ることが出来る。
 「○○さんが言うんだから間違いないな~」
 「○○さんには逆らえないよ」
 「○○さんに着いていきます!」
 「○○姉御、○○兄貴」

こんな単語を日常生活で使っているあなた、自分が所属している組織がカルト宗教と何ら代わりがない事にお気づきですか?

 以上、内田貴洋の問題提起。

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