» 2016 » 4月 » 23のブログ記事

 たまに聞く言葉で「俺(私)~~な人だから」というものがある。用途としては主に言い訳であるが、こんなものが言い訳になると思っているヤツは人間としてのレベルが低い。ただの我侭である。
 そもそも~~な人だから、というのは自分で決めることではなく他人から決められることであり、またそれを許容するかどうかを決めるのも他人である。~~な人だから、という文章は正確には「~~な人だから、まあしょうがないか」「~~な人だから諦めろ」と締めるものである。許容できない場合は「アイツふざけんな!」という評価が下される。正直言って許容されるのはごく一部のズバ抜けた能力を持っている人(だらしない性格だが出場すれば確実にゴールを決められるフットボールプレイヤー、必ず問題解決できるプログラマなど)だけであり、殆どの人間はアイツふざけんな!で終わりである。
 これを自分で言っている人間はもし私が「俺~~な人だからって言ってる人を見るとぶん殴る人だから」と言ったら素直に殴られてくれるのだろうか。または「俺むかつくヤツ見ると殴っちゃう人だからさ」と言えば殴らせてくれるのだろうか。

 東南アジアの主要な価値観で、ヨーロッパはもちろん東アジア及び南アジア、中東などとは相容れない価値観がある。それは「先生視点」である。私はこれがまるで小学校のクラスのような価値観であるなと思ってこう命名することにした。概要は以下の通りである。
・クラスでいじめがあったので、いじめられっこAはいじめっこ達の事を先生にチクった
・授業を受けている時に先生がミスをしたので、Aはミスを指摘した
・学校の設備が壊れていたのでAはそれを先生に伝えた
・授業で分からないことがあったのでAは先生にそれを質問した
 このような時、我々東アジア及び南アジア、中東、ヨーロッパではAは模範的な良い生徒であるとされる。しかし東南アジアではAは悪者である。
 それは、先生から見るとAは自分にとってメンドクサイ仕事を増やす「問題児」でしかないからだ。先生にとって、真の教育などは大事でなく、いかにして楽して金を得るかのみが大事であって、事を荒立てるAの行いはまさしく「悪い子」なのである。
 私が例のコタキナバル事件の後、多数のマレー系マレー人から意味不明なメッセージを貰ったのはこういった文化背景があるわけである。
「警察だって人間なんだから騒ぐな」
「こういうことはどこでだって起きている。なんでお前は騒ぐんだ」
「こんなことで騒ぐなんてお前はプロフェッショナルじゃない」
「俺も同じ場所で同じ被害にあった、お前だけだ騒いでいるのは」
 これらはすべて先生視点で行われているものである。彼らにとっては事なかれ主義が第一で自分が正義を押し殺して耐える事が美徳であり、私のように問題提起するのは言語道断の「問題児」なわけである。
 何故この先生視点が誕生したかというと、単純に教育者が教育をただの金儲け、ルーティンワーク、雇われ労働という認識しかしていないためであって、教育機関の教師の教育がそもそ間違っているからである。政府は教育者の教育に完全に失敗している。
 また、社会が未熟でこの小学生の価値観がそのまま大人の社会にも持ち込まれて、社会を構成する人間がガキのままなのも大きい。結局自分達で近代化社会を作り上げていないから、自浄作用や創造性といったものを知らずに育つ。だからそれに必要不可欠な「正邪判断」というものも学ばずに育つ。結果として人々は先生に媚びを売る小学生の価値観から何も発展しないまま大人になっている。社会に出たら「先生」は存在しないのだからこれは意味がない。
 タイ、ラオス、ミャンマー、カンボジア、マレーシアはこの先生視点が非常に強く、正義よりもこれが優先される。ベトナムとインドネシアはちょっとわからない。フィリピンは明らかに違う。また東アジアでも韓国はちょっと怪しい。北朝鮮はわからない。事情を知っている人のコメントを待つことにしよう。

 発展途上国にありがちなのが、出世して権力を握ったら、今まで自分達がやられていた恨みを晴らすが如く専横し、汚職を働きまくるというものである。公的機関は勿論、営利団体、会社内でもこのような事が見られる。
 こういう事を馬鹿にする日本人は多いが、では我々日本はどうなのであろうか。私は正直言って変わらないと思っている。単にそれが社会における役職というものではなく、所謂先輩後輩に置き換わっているだけである。
 先輩に対しては敬語を絶対使わなければならない、などと息巻いている糞に理由を聞くと、最終的には「自分達がそうしていたから、そうされていたから」という答えが返ってくる。数々の理不尽な行いに黙って従わせるのも問い詰めると同じ答えを返してくる。これと発展途上国の問題と一体何が違うというのか。
 もし発展途上国の役人や、会社内での役員の振る舞いなどに苦言を呈している日本人がいるならば、そいつはすぐに敬語だとかしきたりだとかそんなくだらないものを辞めるべきである。でなければそれはダブルスタンダードと呼ばれる。

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